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広島の建物をアーキウォークのメンバーで訪問して、紹介してみるこの企画。今回は吉島にある中工場という清掃工場をとりあげます。 この建物は、著名な建築家である谷口吉生(たにぐちよしお)を中心に設計が行われました。谷口は全国各地で美術館を多く手がけており、展示品を引き立たせる空間デザインは最も得意とするところ。そんな美術館設計のノウハウを応用して、ゴミ焼却場という施設に対する悪いイメージをひっくり返す大胆な提案を行いました。 |
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まずは外観から。 ふつう、清掃工場は迷惑施設とみなされるため、壁画を描くなどの工夫をすることが多いのですが、谷口は「清掃工場は都市に不可欠なのだから、清掃工場としてしっかりアピールした方がよい」と考え、いかにも工場っぽい金属製の箱といった印象の外観に仕上げました。 また、この建物は平和公園から南に延びる吉島通りの突き当たりにあります。谷口はこの吉島通りのラインにぴったり合わせて「エコリウム」というガラスの歩行者通路を設けました。 ちなみに、谷口は丹下健三(平和公園を設計した建築家)の門下生ですから、吉島通りを特別に意識したのかもしれませんね。 |
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さあ、その「エコリウム」に入ってみましょう。 エコリウムは年末年始や悪天候の時を除いて毎日日中に開いており、誰でも中に入ることができます。 そこは驚くほど洗練された空間です。エコリウムからはガラス越しに稼働中のゴミ焼却装置を見ることができます。最新鋭の設備なので有毒物質は除去されていますし臭いもしません。迷惑どころか、思わず見とれてしまうほど。これはまさに「ゴミ焼却装置を展示している美術館」であり、おそらくこれが建築家の狙いでしょう。 「ゴミは汚いものだから役所に押しつけてどこか遠くに持って行かせよう」…という考えは根本的に変えるべきではないか、そんな気さえしてきます。空間デザインだけで訪れる人に意識改革を迫るとは、建築の力ってすごい!と改めて感じました。 |
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エコリウムの中に、清掃車の展示を見つけました。社会科見学時に清掃車の構造を学習するため…なのでしょうが、現代アートにも似た強い印象を受けます。社会科見学って、ここまでカッコよくできるんですね! | ||||||||||||||||||||||||||
そのままエコリウムを歩いていくと、河口を望むテラスに出ます。特に何か目立つものがあるわけではないのですが、開放的で気持ちの良い空間です。たまにはここでぼ〜っとしてみるのも良いかもしれません。 いかがでしたか? まだ知名度の低い建物ですが、他では体験できない空間体験ができますよ。広島にお住まいならぜひ行ってみてください。 |
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見学ガイド
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建物データ
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